男性更年期(ホルモン治療)とは

そもそも男性更年期って何?

男性の性成熟期から老年期への移行期である40~50 代頃、男性ホルモンであるテストステロンが急激に低下し,抑鬱,疲労感,睡眠障害,性機能低下などの症状がみられるようになります。老化によるものと考えている方が多いのが現状です。日本では約600万人もの男性更年期障害の方がいると言われており、2000年代初めより世界的に指摘されるようになりました。LOH症候群とも呼ばれます。

男性ホルモン・テストステロンとは

  1. 骨や筋肉を強化する。
  2. 性機能を維持する。
  3. 理解力や判断力等の認知機能を高く維持する。

主に3つの働きをしています。 テストステロンが低下すると男性更年期のみならず、様々な病気につながる可能性があります。コレステロールや中性脂肪の代謝力低下により、内臓脂肪や皮下脂肪が増加しやすくなり、肥満や糖尿病、脂質異常症や高血圧を引き起こします。最終的には動脈硬化による心筋梗塞、狭心症、脳卒中など重篤な病気につながります。

男性更年期の症状

大きく精神症状・身体症状の2つに分類されます。
精神症状は集中力の低下、元気がない、不安、落ち着かない、イライラする、鬱っぽい、疲労感が取れない、不眠等が挙げられます。

身体症状は多汗、ほてり、めまい、頭痛、筋力低下、朝立ちの消失、ED(勃起不全)、性機能障害等が挙げられます。

男性更年期のセルフチェック、このような方は男性更年期かも!?

  1. 性欲の低下を感じる
  2. 勃起しにくくなった
  3. 元気がでない
  4. 体力が低下した
  5. 身長が低くなった
  6. 日々の楽しみが少ない
  7. 感情が安定しない
  8. 勃起しにくくなった
  9. 運動能力が低下した
  10. 夕食後にうたた寝をするようになった
  11. 仕事が思うようにいかない

上記のうち、上から2つの項目が両方該当する、もしくは3つ以上の項目に該当する場合は、更年期障害の可能性があると考えられます。

男性更年期の治療

血中のテストステロン値が低い方はテストステロン補充療法(TAT)主な治療法です。TATは注射と塗り薬の2つあります。また、内分泌に異常がある場合は飲み薬もあります。

注射は、「エナント酸テストステロン(エナルモンデポー®)」を3~4週間に1回筋肉注射します。注射時の痛みはありますが、副作用が少ないため多くの方に選ばれています。

塗り薬は「アンドロフォルテクリーム」を朝1日1回、陰嚢・顎下・腹部等の全体に塗布します。皮膚から成分を吸収させるため、注射に比べるとゆっくりと効果が見られます。有効成分のテストステロンは男性の体内で産生されるものと同じ化学構造となっているため、身体への負担が少ないです。

飲み薬は「ゴナドトロピン製剤」を毎日一錠、4~6カ月服用します。
内分泌異常による造精機能障害が疑われる方に行います。エストロゲンを低下させ、精巣内テストステロンの上昇により精子の産生を促します。女性ホルモン作用を有するため精細胞を影響することがありますので、長期処方はできかねます。その他、胃腸障害、目のかすみ、などがあります。